本と酒があれば、人生何とかやっていける

読んだ本の感想や気付きを中心に、雑感をつらつらと綴っていきます

〈本〉『池上彰の世界の見方 中国・香港・台湾 分断か融合か』

【さすが池上彰

これほど付箋を貼りまくった本はない

東京都立桜修館中等教育学校での講演がもとになっている。池上彰に「いい質問ですね」を連発させる生徒の皆さんが素晴らしい。中国という国の成り立ちを改めて学習するのに最適な一冊だった。

 

池上彰の世界の見方 中国・香港・台湾: 分断か融合か
 

 

なぜこの本を読もうと思ったのか、中国と香港と台湾の関係について改めて学習するにあたり、この三つのキーワードで検索したところこの本が出てきたからだ。池上彰なら間違いないだろうということで手にした。

 

いや、分かりやすいの何のって。これだけ付箋を貼りまくった本はない。

 

植民地政策の話

やはり中国はとんでもない国だ。しかしながら、日本もかつてはとんでもない国だった。やはり日本は良い国だ。しかしながら、良い国だから国民が考えなくなり、行動しなくなってしまうという側面もある。そのようなことを感じた。

 

ここで中国・香港・台湾の成り立ちをつらつら綴っても仕方がないので、上手い説明をするなと感心したことを一つだけ紹介したい。日本が初めて手にした植民地である台湾を引き合いに出した植民地政策の話だ。

 

植民地をどのように統治するのかは国によって様々。イギリスは統治する優秀な人材を育てるため植民地に高等教育機関つまり大学を作った。フランスは優秀な人材を本国の大学で教育してから植民地に送り返した。ポルトガルは資源を収奪するだけで人材を育成しようとはしなかった。

 

イギリスの植民地だった国は独立後の国づくりが比較的上手くいき、フランスの植民地だった国は独立後に国を動かす人材の育成に苦労した。ポルトガルの植民地だった国は独立してから大混乱することになった。さて、日本はどうだったのか?

 

日本は超一級の人材を送り込んだ

 

全ては教育

後藤新平新渡戸稲造らを送り込み、大学を作って教育水準の向上に努め、医療制度を整備して公衆衛生に対する意識を養い、農業の生産性を高めるための灌漑事業などを進めて文明化に大きく貢献した。

 

もちろん、良いことばかりではない。まずは徹底した日本語教育を強制したので反対運動が勃発。日本軍による弾圧で数多くの住民が殺害されたという事実もある。しかしながら文明化に対する貢献もある。素晴らしいのはそれが(つまり悪いことも良いことも)台湾の教科書にきちんと書かれていることだ。某国とはえらい違いだ。

 

人づくり、国づくりの基本は教育だということを改めて考えさせられた。そして、日本は良い国ゆえに国民が考えなくなった、行動しなくなったと感じながらも、学ぶ環境が整っている日本はやはり素晴らしい国なのだと再認識することができた。

 

本書の雑感

ようやく子供たちが大きくなってきたということで、三年前から夫婦で旅行を始めた。三年前は九州に、二年前は四国に。昨年は夫婦水入らずの旅行をいったん打ち止め。子供たちがダブル受験だったからだ。

 

二人とも無事に受験を終えたものの、教育費は馬鹿にならないので今年も旅行には行けていない。二年続けて旅行して、二年続けて旅行なし。果たして来年はどうだろうか。

 

次は海外に行こうと決めている。妻の口から出てきたのは台湾だった。私も台湾には行ったことがない。いまのうちからしっかりと勉強しておいて、親日国・台湾を心から満喫できるように準備しておこう。そのようなことを思いながら本を閉じた。

 

それにしても、さすが池上彰。台湾旅行に備えて、中国・香港・台湾の歴史をしっかり辿っておかなければ。