本と酒があれば、人生何とかやっていける

読んだ本の感想や気付きを中心に、雑感をつらつらと綴っていきます

小説しか受け付けない

【引き続き小説の海に溺れよう】

やや中毒気味

ここ最近、小説しか受け付けない身体になってしまった。多島斗志之の『症例A』以降、積ん読というよりも塩漬けされていた小説を中心にばくばくと消化中だ。まさに"小説まみれ"の生活を送っている。まみれというよりもやや中毒気味で、仕事以外のことが手に付かず少し困っている。

 

黒百合 (創元推理文庫)

黒百合 (創元推理文庫)

 

 

ピース (中公文庫)

ピース (中公文庫)

 

  

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

都市と都市 (ハヤカワ文庫SF)

 

 

繁殖 (小学館文庫)

繁殖 (小学館文庫)

 

 

誘拐 (ちくま文庫)

誘拐 (ちくま文庫)

 

 

『症例A』が面白かったので、同じく多島斗志之の『黒百合』を読んでみた。男と女、過去と現在、その他諸々の要素が複雑に絡み合い、頭の中がごちゃごちゃになる。何かと先回りして色々と調べる癖があり時にはネタバレもかましてくれる妻が、読了後に調べた「謎」をかくかくしかじかと解説してくれたのでスッキリした。なるほど、あの人はそういうわけだったのか。

 

そう、『症例A』以降、妻に本を横流ししている。ノンフィクションだとこうはいかないが、小説なので気軽に受けてくれる。ちなみに、『症例A』は妻から息子へと流れた。息子も堪能したようで満足している。後は娘まで流れていけば家族四人が一冊の本でつながるので、娘にも是非読んでもらいたい。

 

次に手を付けたのが、樋口有介の『ピース』だった。これは塩漬けされていた本で、随分と前の読書会で紹介されたもの。連続猟奇殺人もので、ピースというタイトルに仕掛けがありなかなか楽しめた。『連続殺人鬼カエル男』のような、血がドバドバ流れる系の本が好みの娘(爆)はこちらに目を付けているらしい。娘よ、『症例A』も読んでくれ。

 

お次は苦手ながらも飽きずに挑戦し続けているSF小説。小説まみれの流れを受けて果敢に挑んでみたのは、ヒューゴー賞などSF関係の各賞を総なめにしたチャイナ・ミエヴィルの『都市と都市』だ。解説はミスターSF大森望が担当している(ミスターの解説は面白い)。やや分かりにくいところもあったが読み切った。最後は「あぁ、やはりそうなるのね」という終わり方だった。

 

そして、これまたいつから塩漬けされていたのかすら分からなくなってしまった、仙川環の『繁殖』を読んだ。集団食中毒が下敷きになっている小説で、食品関係の会社に勤める身としては興味深く読むことができた。例えば、黄色ブドウ球菌→エンテロトキシンなど。エンテロトキシン?何それ??という人は、戸梶圭太の『牛乳アンタッチャブル』をどうぞ。

 

さぁ、そして最終コーナー、今回までの一段落を飾る一冊は本田靖春の『誘拐』だ。こちらは実際に起きた誘拐事件をもとにしたノンフィクション。この本は加害者の側から見た「視点」が非常に良い。ノンフィクションだけになおさら良い。人間の暗い、とてつもなく深く暗い一面と、明るいという表現は語弊はあるが、希望を照らすような一面、その両面を見せてくれる良書だった。

 

今回の雑感

ワンクッション置いているものの、小説中毒が止みそうもない。他にやらなければならないことがあり、こちらに影響を及ぼしているのだが仕方ない。いまはそのような時期なのだろうと割り切って、引き続き小説の海に溺れようと思う。