本と酒があれば、人生何とかやっていける

読んだ本の感想や気付きを中心に、雑感をつらつらと綴っていきます

〈本〉『日本の異国 在日外国人の知られざる日常』

【外に出ずとも異文化に触れられる】

ダイヤモンド・オンライン

最近、ここで本を拾うことが多い。

 

 

毎朝届くメルマガの中で気になったものに目を通している。寄稿者の出版物に紐づいた記事が多いので、興味を持てば本も読んでみようかということになる。そんなわけで手にしてみたのがこの本だ。

 

日本の異国: 在日外国人の知られざる日常

日本の異国: 在日外国人の知られざる日常

 

 

ダイヤモンド・オンラインの記事はミャンマーに関する内容が中心だった。同僚がミャンマー案件に注力しているので気になって読んでみたというわけだ。すると(当然本書にも同じないことが書かれている)、はまっていたアレが出てきたではないか。そういえば通っていたぞ、五郎さんが。

 

というのも、かの大ヒットドラマ『孤独のグルメ』(テレビ東京系列)に登場したからだ。

 

 

この店は「リトル・ヤンゴン」と称される高田馬場にある。

 

豊かすぎる国際色

高田馬場以外にも、「リトル・マニラ」と呼ばれる竹ノ塚、「リトル・インディア」と呼ばれる西葛西、「ヤシオスタン」と呼ばれる埼玉県八潮市パキスタン人)、「ワラビスタン」と呼ばれる埼玉県蕨市クルド人)、そして一大コリアンタウンとして知られる新大久保など国際色が豊かなんてもんじゃあない。なお、なぜか埼玉県の地名にだけ接尾語として付いている「〜スタン」は、 ペルシア文化の影響が強い国で「〜の土地、場所」を意味するそうだ。

 

日本にいながら異文化に触れられる

しみじみと感じたのは、お金をかけて、国によっては危険な目にあってまで外国に行かずとも、日本にいながら異文化に触れることができるじゃあないかということだ。外の世界と接触することで、思い直したり見つめ直したりすることがある。例えば、宗教。

 

ラオスだけでなく、タイやカンボジアミャンマーなど東南アジアは敬虔な仏教国。宗教というよりも、生活習慣すべての基礎だ。

 

仏教に限らずだが、日本に住み着いである外国の人々にとって、寺院や教会は欠かせないものだろう。日本にいながら異文化と宗教との関係に触れることができるのは、誠にもって貴重な機会ではないだろうか。

 

日本や日本人を見つめ直すことも

もちろんそれだけではない。日本の中に留まっていては見えてこないことがある。そう、日本や日本人自身のことだ。本書でも在日外国人から指摘されていることがあり、なかなかに興味深い日本人像である。

 

でも日本人は、フリーダムなオーストラリア人に比べると、自分になにかを課す人々ですね。これをやらなくちゃいけない、その次はあれをしなくちゃ・・・・・・と。

 

お客さんの日本人のお年寄りには、子供がまったく会いに来てくれないという人もいます。

 

後者について、著者は「拝金主義がどれだけ横行しても、中国人が家族を、とりわけ親を大切にする気持ちは変わらず強い。」と若干微妙なコメント添えているが、耳が痛い人もいるのではないだろうか(まぁ、そもそも会いに行かない人は痛むような耳も持ち合わせてはいないのかもしれないが)。

 

自分にとっては当たり前だと感じていることが、外国の人々のフィルターを通すことで違ったものに見えてくる。ちょいと待てよ、と内省する機会を与えてくれる。

 

本書の雑感

私にとって意外だった地名もいくつか挙げられていた。ちょっとした交通費を出せば異文化に飛び込むことができるとは、何ともお得な話ではないか。本書を片手に異文化を求めてあちらこちら(といっても都内が大半)に足を向けてみるのも悪くない。そこで日本人である自らを再発見することがきっとあるのではないだろうか。