本と酒があれば、人生何とかやっていける

読んだ本の感想や気付きを中心に、雑感をつらつらと綴っていきます

脱毛のお陰でふっ切れた

【読書は娯楽だ】

 

脱毛の歴史

脱毛の歴史

 

 

縦から横に戻してやった

図書館で目に飛び込んできた本だ。昔は(という程の時間軸ではなく、つい最近のことではあるのだが)この手の本を狩猟するために聖地・八重洲ブックセンターへ通っていたものだ。ここ最近は「普通の人」になってしまったのですっかり離れてしまっていたが、やはりかつての嗅覚の名残りはあるらしい。

 

マニアックですな。こういう本は大好き。三十分程で読み上げた。三十分!?そう、三十分。あれもしなければいけない、これもやらなければならない、そして、やはり本も読みたい。そうだよな、と開き直った。このような読み方は違うのではないかと改めていた考えを、またひっくり返してやった。横から縦を、再び、縦から横に戻してやった(詳しくは以下リンクをご参照)。

 

 

本は手を付けてなんぼ

いちいち舐めるように読んでいたら、読みたい本も読めやしない。最近、図書館で借りた本を消化しきれなくて読み切れず、いや多くは手を付けることなく返却することが増えてしまった。バカバカしい。だったら、斜め読みした方が百万倍マシではないか。目が覚めた。脱毛のお陰で目が覚めた。本は手を付けてなんぼではないか。

 

そう、借りたはいいものの、そのまま手付かずで返すにはあまりにも惜しいと思った。脱毛の歴史。いいじゃないか。この変態感溢れる装丁。黒に白字で脱毛の歴史、副題にはピンク字で「ムダ毛をめぐる社会・性・文化」ときた。本書を著した著者の動機と目的がいまいち不明瞭だが(書かれてはいるものの腹に落ちなかった)、私にとってはテーマに変態臭がするだけで十分に価値がある。

 

変態本でお楽しみのアレ

著者の本気度合いは「原注」の多さでも伝わってくる。なんと七十ページという紙幅を原注に割いている。著者が脱毛とがっぷり四つに組んだことが見て取れるではないか。結構えげつないながらも笑える図解などが引用されており、著者の、何というか執念みたいなものが感じられる。

 

まぁ、この手のいわゆる変態本でお楽しみなのはシモの話である。本書においては陰毛の話ということになる。アメリカの女性たちのシモの毛に対する見方や考え方、おまけに処理の仕方(爆)に関する変遷が楽しめる。性的な装備の中でも強力な武器であると考えられてきた陰毛が、たった一世代のうちに余計なものと考えられるようになった、というくだりは存分に楽しませてもらった。

 

唸らされた話もある

シモの話ではないのだが、ジレット(剃刀のジレット)と第一次世界大戦の話には唸らされた。様々な理由から、アメリカ人兵士がヨーロッパ戦線に参戦する頃には、兵士一人一人がひげ剃り道具を携帯することがアメリカ陸軍の規定に明記されたというのだ。剃刀は軍需産業だったのか、ジレットの興隆は戦争特需から始まったのかと唸らされた。変態的な角度から眺めると、歴史がぐっと身近で面白いものに見えてくる。

 

今回の雑感

とまぁ、斜め読みでも十分読書になり、そしてそれがストレス発散につながることがしっかりと確認できた。つい数ヶ月前にぶち上げた「横から縦」をあっさり覆し、何が悪い、文句があるかと「縦から横」に戻した。

 

ここのところ色々と不安定な状態が続いているので、改めて読書をしっかりと生活に取り入れて、適宜ガス抜きしていこうと感じた次第。欲張るな。一つの本から雑巾を絞るがごとくできるだけのものを吸い上げようとするな。読書は娯楽だ。そう自分に言い聞かせた読書になった。ありがとう、脱毛。脱毛のお陰でふっ切れた。