本と酒があれば、人生何とかやっていける

読んだ本の感想や気付きを中心に、雑感をつらつらと綴っていきます

〈本〉『決断の法則 人はどのようにして意思決定するのか?』

【ブーメランのように戻ってきた】

まさにODA

『OODA LOOP』で紹介されていた一冊。

 

 

「人は現場でいかにして自分の経験を生かし、意思決定を行うのか」というテーマに関する研究をまとめたもの。著者は人間の行動能力に注目して、従来の理論で謳われている論理的思考、確率に基づいた分析、統計的手法よりも、現場で必要となるのは直観、メンタルシミュレーション、比喩力(比較力)、ストーリー形成などの能力だとしている。

 

この、状況をすばやく評価する能力、頭の中で行動の結果をイメージする能力、過去の記憶を引き出して現状との類似点を発見する能力、将来に役立つように過去の経験を整理統合する能力に関する研究をまとめたものが、この『決断の法則』だ。

 

冒頭にあげた「OODA LOOP」は意思決定の手法であり、Observe、Orient、Decide、Act(観察、情勢判断、意思決定、行動)の頭文字をとってOODAループ。スピードを重視するので、意思決定のOrientをすっ飛ばして行動に移る(つまり、OOA)が理想としている。本書はまさにODAだ。

 

allblue300.hatenablog.com


専門家に、なぜそのように優秀なのかと尋ねても、一般的な答えが返ってくるだけで、発見は少ない。しかし、専門家に、自分のスキルが役立った重大な事例、すなわち非日常的な出来事について尋ねることができれば、彼らの展望、すなわち世界の見方を多少なりとも知ることができるだろう。

 

経験>論理主義

本書は経験に焦点を当てている。現場における意思決定をする上で重要なのが経験、いかに経験を活用するかであり、専門的なトレーニングを積むことでは経験の積み重ねに取って代えることはできないとしている。関連して印象に残ったことがある。

 

極端な論理主義は一種の精神障害である。論理主義の虜になった人は、意思決定や問題解決処理を、基本的に論理だけで解決しようとする。

 

過度の論理主義は色素性網膜炎に似ている。思考するとき、常に唯一つの能力(論理的な思考)しか使おうとしないからだ。

 

なかなか強烈な表現だが、論理主義に偏り過ぎることに警告を述べている。論理的な分析には長所と短所がある。ふさわしくない状況で用いられる論理主義は破綻を招く。もちろん論理主義を否定しているわけではなく、それだけでは駄目だということだ。

 

本書の雑感

この能力を形成するのは、演繹的論理や確率論を使用せずに行動を引き起こす力である。

 

この能力とは、現場における意思決定の能力である。このくだりなどは「OODA LOOP」に通じるものがあり非常に興味深い。が、本として馴染めるのは『OODA LOOP』の方だったので、やはりこの本は手元に置いておかなければいけないと感じた。というわけで早速注文した。来週は久し振りの読書会なので『OODA LOOP』を紹介しよう。しっかり読み込んでおかなければ。