本と酒があれば、人生何とかやっていける

読んだ本の感想や気付きを中心に、雑感をつらつらと綴っていきます

〈本〉『貴様いつまで女子でいるつもりだ問題』

女子は楽しめるのだろうか?

しばらく積ん読されていて本棚の肥やしになりかけていた本を、肥やしになってしまう前に引っ張り出してみた。疲れた脳味噌でも読めそうなので、まさに脳味噌がぐでぐでに疲れている時に読んでみた。いやはや、先週は忙しかった。脳味噌ぐでぐで状態でも読める本は常備しておかなければいかんな。

 

 

タイトルになっている「貴様いつまで女子でいるつもりだ問題」から始まるエッセイだ。貴様いつまで女子でいるつもりだ論議を延々と続けるものだとばかり思っていたので、まずそこで期待値との段差があった。はっきり言って面白くなかった(爆)女子の面々はこの本を読んで楽しめるのだろうか?

 

期待値との落差が大きかった...

時たま面白い言い回しが出てくるものの、私からすれば中途半端だ。アルテイシアの『もろだしガールズトーク』のように、ガッ!とハンドルを切ったぶっ飛び感を期待していただけに、なおさら期待値との落差を感じたのかもしれない。アルテイシアの本は笑えるエロ話だけでは終わるものではないので、興味がある人は是非読んでみて欲しい。

 

 

ひとつのエッセイに救われた

面白くなかった、つまらなかったのだが、ひとつだけぐっと引き込まれるエッセイがあった。このエッセイを読むことができただけで収穫だった。まぁ、裏を返せばこのエッセイがなければ惨憺たる読後感が待ち受けていたことになったわけだが...

 

母を早くに亡くすということ

 

こう冠された少し長めのエッセイだ。二十四歳の時に母親を亡くした著者。その後の父親との難しい関係、亡くしてみて初めて理解できた母親が存在していた意義、母親が亡くなってから十六年経った今だからこそ至ることのできた父親との距離感。

 

何をか言わんや。はっきりと言おう。性別の差こそあれど、父親との関係に悩みを抱えているので共感してしまったのだ。

 

親は子に何を言っても良いのか?

モンスターペアレント」は学校や教師に対してその攻撃の矛先を向ける親たちを指す言葉だが、決してそれだけではないと思う。子にとってモンスターなペアレントはいる。そのように感じてしまう自分自身が悲しくなるものの、仕方がない。

 

親は子に対して何を言っても良いのか?子はそれを甘んじて我慢していなければいけないのか?虐待は決して肉体的なものばかりはない。言葉の暴力というものもある。子に対する過剰な要求は愛の鞭という一言で片付けられてしまうものなのだろうか。

 

ふたりが楽しく一緒にいられるのは、三時間まで。父は父である前に男であること。私は父が思う娘以上に、もう大人の女であること。私たちは少しずつ学んでいきました。お互いをなにも知らなかった父と娘は、知れば知るほど、とても似ていました。母が早く亡くならなければ、知りえないことばかりでした。

 

本書の雑感

歳を重ねれば大人にはなるものの、知恵がついたらついたで面倒くさい発想も出てくる、こんなことは言いたくはないものの「老害」という言葉もある。楽しく一緒にいられる時間が限られているのであれば、距離を置くしかないのだろう。親の気持ち子知らず。しかしながら、逆もまたしかりだ。親と子は特別な関係である。だからこそ、難しい側面も出てきてしまう。

 

本書を、いや「母を早くに亡くすということ」というエッセイを読まなければ、至らなかった考えがある。やはり、読書はいつも私に手を差し伸べてくれる。